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ASEANのコーヒー産業と文化|ベトナム・インドネシア・ラオス・タイ・フィリピン

ASEANのコーヒー産業と文化

東南アジアの気候と地理的な場所は、コーヒー栽培には理想的な環境です。さらに、この地域のコーヒー文化とコーヒー生産における専門知識によって、ASEANのコーヒー産業はますます活気溢れるようになりました。

ベトナム、インドネシア、ラオスといった東南アジアの国々は、コーヒーの輸出大国に成長しました。タイでは、コーヒーの需要の増加によって、新規事業と投資を引き付け続けています。加えて、フィリピンでは、ニッチな市場と国内需要をターゲットにするためにコーヒー産業を復活させることを決意しています。

この記事では、これらの国々におけるコーヒーの生産と文化、コーヒー産業における現在の状況について解説します。

ベトナムのコーヒー産業と文化

あまり知られていませんが、ベトナムは現在、ブラジルに次いで世界第2位のコーヒー輸出国です。2017年のコーヒーの総生産量は29,500,000袋分(1袋60kgとして)で、インドネシアは10,902,000袋分の総生産量でした。世界のコーヒー流通量の99%を占めるロブスタコーヒーとアラビカコーヒーがベトナム北部で栽培されています。

世界の市場調査・コンサルティング会社のイプソスによれば、ベトナムにおけるコーヒーの国内消費量は約6%にすぎず、残りは海外向けに栽培・販売がされて、ベトナムの主要輸出商品の1つとなっています。

2018年1月から11月までの最新の報告によると、ベトナムの輸出収入は約33億ドルに達達しています(焙煎、インスタントコーヒーを含む)。主な輸出先はドイツ、アメリカ、イタリアです。

コーヒーの生産を増強するため、ベトナム政府は2030年までにコーヒー農園50万ヘクタール分の面積とすることを目標にしています( 4つの主要な省 - ダクラク、ラムドン、ダクノン、ジャライ)。

Trung Nguyen、Phuc Long、Highlandsなどの地元のコーヒーチェーンは、ベトナムの味に非常に適した独自の伝統的なコーヒー製品のおかげで、依然として競争力があります。スターバックス、グロリアジーンズ、ダンキンドーナツなどのコーヒー専門のフランチャイズ企業を含み、ベトナムの国内市場は激しい競争に直面しています。

外資系企業の市場シェアは過去3〜4年間で急上昇し、毎年輸出されるコーヒー全体の約60〜65パーセントは外国からの投資によるものです。このため、産業貿易省は、外資系企業が農家から直接コーヒーを購入すること、ベトナム国内におけるコーヒー購入のための仕入れルート・ネットワーク確立を禁止しました。

ベトナムの地元の人々は、「ca phe sua da」と呼ばれる古典的なコーヒー、や「コーヒー、牛乳、氷」を混ぜ合わせたコーヒーを好みます。ロブスタのコーヒー豆から作られたコーヒーの強くて苦い味は、加糖練乳とバランスが取れています。他の人気のあるコーヒーの種類は、ヨーグルトを混ぜ合わせたコーヒーがあります。

インドネシアのコーヒー産業と文化

インドネシアは、世界で最も高価な「コピ・ルアク」と呼ばれるコーヒーで知られています。
これは、ジャコウネコに食べられ、消化酵素・腸内細菌の働きによって独特な香りがすることが特徴です。1kgあたり約700ドルと非常に高価で、主にスマトラ、ジャワ、バリの島々で生産されています。

インドネシアは2018から2019年の間に、7,200,000袋分を輸出すると予測されています。しかし、近年は悪天候が続き、ロブスタとアラビカの生産に影響を与えたため、2017から2018年の輸出額は2016から2017年の8,720,000袋分から5,640,000袋分へと減少しました。

インドネシアでは、若者にコーヒーが愛され、オーストラリアやアメリカのコーヒー文化・習慣に大きな影響を受けています。

インドネシアにおける伝統的な高級コーヒーは、ロブスタ豆のコピ・ルアクです。イスラム教徒の国では、コーヒーはアルコールに代わる飲み物として普及しています。

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ラオスのコーヒー産業と文化

ベトナムとインドネシアに続いて、ラオスは東南アジアを代表するコーヒーの生産国と輸出国です。ラオスは低価値のロブスタよりも高価値のアラビカを生産する方針です。

世界銀行によると、コーヒーの生産は、ラオス経済における主要な収入源の一つです。2017年のラオスのコーヒー輸出は、2016年と比較して1億1,200万ドルとなりました。主な輸出先は、タイ、ベトナム、日本、スペイン、ポーランド、ドイツ、米国、フランス、ベルギー、スウェーデンです。2018年4月、ラオスの大手生産企業のDao-Heuang Groupは、中国におけるコーヒー事業を拡大するために、中国の昆明食品輸出入貿易有限公司との間で貿易協定を締結しました。

政府は国内販売の増加と137,500トン以上のコーヒーの輸出を達成すると予想している。国際コーヒー機関による最新の統計では、ラオスにおけるコーヒーの総生産は、2016年の465,000袋分から2017年では475,000袋に達したことを明らかにしました。

タイのコーヒー産業と文化

タイのコーヒー産業は近隣諸国と比較すると、その規模は小さいです。2016から2017年の総消費量も1,300,000袋ほどでした。しかし、タイは、その製造工程と好ましい育種条件によって、高品質のコーヒーを栽培する大きな可能性を秘めています。

Kafae Boranと呼ばれるタイの伝統的なコーヒーは、醸造方法の違いを除けばベトナムのコーヒーとよく似ています。第二次世界大戦中に開発されたKafae Boran、タイではKafae Boranを特産物として位置づけブランディングを進めています。

フィリピンのコーヒー産業と文化

フィリピンではコーヒーの国内需要は他のASEAN諸国よりも大きく、2016年から2017年の国内消費量は3,000,000袋分と、タイ(1,300,000袋分)とベトナム(2,400,000袋分)を大幅に上回りました。

最近開催された第3 回フィリピンコーヒーカンファレンスでは、貿易省と農業省がコーヒーの関連企業を集め、国内のコーヒー産業の発展について話し合いました。コーヒー市場拡大に関連する様々なプログラムを実施するために、フィリピンのコーヒー産業ロードマップ(2017-2022)が策定されました。

フィリピンはいわゆる「コーヒーベルト」の上にあり、ロブスタ、アラビカ、エクセルサ、リベリカの4種類の栽培に最適な気候です。直近の種類別コーヒー生産シェアは、ロブスタが65.2%、アラビカが27.1%、エクセルサが6.9%、リベリカが0.9%となります。1900年代初頭、フィリピンはブラジルとコロンビアに次ぐ、世界第3位のコーヒー生産国でした。

2017年のコーヒー生産量は203,000袋分で、前年を下回りました。しかしながら、政府は輸入の依存度を減らし、コーヒー農家の輸出をサポートするため、コーヒー農園の拡大を推奨しています。

フィリピンにおける、喫茶店やコーヒーチェーンの成長は投資機会として見られています。スターバックス、シアトルのベストコーヒー、コーヒービーン&ティーリーフ、グロリアジーンズコーヒー、UCCコーヒーなど、多くの多国籍企業が参入しています。

他のASEAN諸国と比較して、フィリピン人は滅多にお茶を飲むことがなく、コーヒーを好みます。伝統的なコーヒーは、ブラックコーヒーでBarakoと呼ばれ、購入された日に焙煎されます。

 

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